私は毎日のように、お客様から「ピアノを買い取ってほしい」というご相談をいただきます。
もちろん、査定額についてのご質問もありますが、お話をしていると、それ以上に感じることがあります。
それは、多くの方が「ピアノを手放したら終わり」とは思っていない、ということです。
ピアノはテレビや冷蔵庫とは違います。
何十年もの間、家族と一緒に暮らしてきた存在です。
お子さんが初めて弾いた曲、お母さんと一緒に練習した時間、発表会の前に何度も何度も練習した思い出。お孫さんが遊びに来たときに久しぶりに音を鳴らしたことなど、一台のピアノにはその家族だけの歴史がたくさん詰まっています。
だからこそ、いざ手放す日になると、皆さん複雑な気持ちになります。
トラックに積み込まれて家から出ていく姿を見送る時、「今までありがとう」と声をかける方もいらっしゃいますし、涙を流して見送られる方も決して珍しくありません。
私はそんな場面を何度も見てきました。
だから、ピアノは単なる「中古品」ではないと思っています。
長年家族として一緒に過ごした、大切な存在なのです。
だからこそ、ぴあの屋ドットコムでは、引き取ったピアノを丁寧に整備し、新しいご家庭へ送り出したあと、お客様がご希望であれば、そのピアノがどこへ旅立ったのかをお伝えしています。
例えば、
「福岡でお預かりしたピアノですが、東京で小学生の女の子が毎日楽しそうに弾いていますよ。」
あるいは、
「京都から来たピアノは、大阪の音楽教室でたくさんの子どもたちが使っています。」
そんなお話をすると、お客様は本当に嬉しそうな表情をされます。
「そうなんですね。」
「新しい場所で活躍しているんだ。」
「大事にしてもらえて良かった。」
そんな言葉をいただくたびに、私たちもこの仕事をしていて良かったと思います。
私は、ピアノは人から人へ受け継がれていく「バトン」のようなものだと思っています。
売却した瞬間に関係が終わるのではありません。
そのピアノは、新しい人生を歩み始めるのです。
そして、そのことを前の持ち主にも知っていただくことで、「手放して良かった」と思っていただけるのではないでしょうか。
実際、査定額だけを比べれば、他社のほうが少し高い場合もあるかもしれません。
それでも「ぴあの屋さんにお願いしたい」と言ってくださる方がたくさんいらっしゃいます。
私は、その理由は金額だけではないと思っています。
「この人なら安心して任せられる。」
「次の方へ大切に引き継いでくれそう。」
そんな気持ちを持っていただけているのなら、本当に嬉しいことです。
実は、ぴあの屋ドットコムでは、海外への輸出販売を基本的には行っていません。
もちろん海外で日本のピアノが活躍すること自体は素晴らしいことです。
しかし、一度海外へ渡ってしまうと、その後どこで誰が弾いているのか分からなくなってしまいます。
私は、それが少し寂しいのです。
せっかく心を込めて整備したピアノです。
できることなら、その先も見届けたい。
そして、前の持ち主にも「今こんな場所で大切に使われていますよ」とお伝えしたい。
そんな思いがあります。
ピアノは、木と金属とフェルトでできた楽器ではありますが、人の思い出や人生まで運んでくれる特別な存在です。
だから私は、これからも単なる「買取業者」ではなく、「ピアノと思い出を次の世代へつなぐ橋渡し役」であり続けたいと思っています。
一台のピアノには、一つひとつ違う物語があります。
その物語を大切にしながら、次の持ち主へと受け継いでいくこと。
それが、ぴあの屋ドットコムが一番大切にしている仕事なのです。
ピアノは売るものではなく、次の人へ託すもの。私はいつもそんな気持ちで、お客様の大切なピアノをお預かりしています。














