心の窓メルマガ版 45 「勇気を与えた少年」

勇気を与えた少年

心の窓43号「子供は天使」はとても反響がありました。

もう一ついいお話がありますので、お届したいと思います。

「もう死にたい・・・・。もうやだよ・・・・・。つらいよ・・・・・」
妻は産婦人科の待合室で人目もはばからず泣いていた。

前回の流産の時、私の妹が妻に言った言葉・・・。
「中絶経験があったりすると、流産しやすい体質になっちゃうんだって」。

あまりにも人を思いやらない言葉に私は激怒し、それ以来妹夫婦とは疎遠になっている。

妻は口には出していないが、もうすごく辛い思いをしていたと思う。

だから、今日までなんとか二人で頑張ってきたが、3度目の流産。

前回も前々回の時も、「また、頑張ろう」と励ましてきたが、励ます言葉が妻にプレッシャーをかけるような気がして、何も言えなかった。

いや、そうではない。今考えるとおそらく、3度目の流産を告げられて、子供がいない人生を私は模索し始めていたんだと思う。

私は冷酷な動物だ。情けない。

「ごめんね・・・・。でももう私頑張れないかも。もう駄目だと思う」。

待合室に妻の嗚咽だけが響く。

その時、妻の隣に4~5才くらいの男の子が座った。

「あのね、これあげるから、もう泣かないで」。

その子が差し出した手に上には二つの指輪。

おそらくお菓子のおまけだと思う。

男の子「水色のは泣かないお守り。こっちの赤いのはお願いできるお守り」。

私「いいの? だってこれ、ボクのお守りなんでしょ?」。

男の子「いいよ、あげるよ。ボクね、これ使ったら泣かなくなったよ。もう強い子だからいらないの」。

私「赤い指輪は? お願いが叶うお守りなんでしょ? これはいいよ」。

男の子「これね。二つないとパワーが出ないんだって。お父さんが言ってた」。

そういうと男の子は「だから泣かないで」といいながら妻の頭を撫でた。

すこし離れたところから「ゆうき~、帰るよ~」という彼のお父さんらしき人が彼を呼ぶと、

男の子は妻のひざに2つの指輪を置いて「じゃあね、バイバ~イ」と言って、去っていった。

いまどき珍しい、五分刈頭で、目がくりっとしたかわいい男の子だった。

私はその子の後姿をずっと目で追っていたが、ふと隣を見ると妻は二つの指輪をしっかりと握り締めていた。

迷信とか宗教とかおまじないとか、そういったものは全く信じない二人だけど、この指輪だけは、私たちの夢を叶えてくれる宝物に見えた。

その日から妻は、さすがに子供用の指輪なのでサイズが合わないため、紐をつけてキーホルダーにしていた。

それから2年半後、我が家に待望の赤ちゃんが誕生した。

名前はあの子にあやかって「有紀(ゆうき)」にした。

生まれる前から、男の子でも女の子でも「ゆうき」にしようと決めていた。

ゆうきくん、あの時は本当にありがとう。

あの時、君に会えていなかったら、君に慰めてもらえなかったら、今、この幸せを感じることはできなかったと思う。

私たち家族は、君に助けてもらいました。

君からもらった二つの指輪は、娘のへその緒と一緒に、大事に保管してあります。

我が家の宝物です。

うちの娘も、君のように人に幸せを分けてあげられるような子に育って欲しい。

本当に、本当にありがとう。

ぴあの屋ドットコム 石山


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マーちゃん

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ぴあの屋ドットコム代表 ピアノを弾く時にはリチャード石山と言われています。
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