奮闘記 ⑦悲しい出来事♪ 

ピアノの先生が亡くなりました。まだ20代半ば。2歳の女の子を残して・・・。

ある日、そろそろ調律ですよと実家のお母さんへ電話を入れました。

先生は勤めていた音楽教室をやめ、ご主人の転勤で大阪から三重県へ行かれたので、

実家にグランドピアノがおいたままになっていたのです。

先生からは、

「遠いけど京都から三重県へも調律に来ていただけます? アップライトだけ持ってきたの」

とお電話もいただいていて

「時期になったら喜んでいきますよ。とりあえず実家のグランドを先にやっておきますね」

とお話をしていました。

しばらくして、実家のお母さんへ電話をいれたら様子がおかしいのです。

「いま、取りこんでいるので先に延ばしてください!」

半年後にお家へ行ってみました。

夏休みで遊びに来ていた先生の子供さんが出迎えてくれました。

「大きくなったね。お母さんは?」

「・・・・・・・・」

奥から実家のおばあちゃんが出てこられて事情を聞き 唖然・・・

あまりのショックに、しばらく立ちすくんでしまいました。

先生は妊娠8ヶ月だったそうです。

実家に帰ってきては「めまいがする」としきり言っていたそうで、

ある日、子供さんと自宅でお風呂に入っていたときに

恐らく急にめまいがして意識がなくなってしまったのでしょう。

そのままお湯に沈み水死してしまったそうです。

ご主人はいつも仕事の帰りが11時を過ぎるそうで、

その日も、遅くに家に帰ってきた時・・・・。

裸で泣いている2歳の娘。浴槽に沈んでいる妻・・・。そしておなかの赤ちゃんは?

音楽教室では生徒にとっても人気があって、小柄で笑顔のかわいい先生でした。

実家のお母さんは娘の子を抱きながら、涙を流してこう言っていました。

「この子ともこの夏休みでお別れなんです。外孫なのがつらい。

娘の主人はまだ若いのでたぶん再婚するでしょう。

このグランドピアノももうすぐ手放します・・・・。」

おばあちゃんの横で、女の子は元気に遊んでいました。

あの事故以来、一度もお母さんのことを話さないそうです。

彼女は小さな胸の中で、

「どうしてお母さんは水に沈んじゃったの?

どうして私を置いていなくなっちゃったの?」

と一人で一生懸命耐えているのでしょう。

お父さんを助けて、力強く成長して欲しいと思います。

ご冥福をお祈りいたします。

調律師とお客様は、ただの出入り業者と客という関係ではありません。

10年、20年と長い年月の間、お家の中へ入って仕事をし、お話をして、

人間としてお互いに成長していく姿を見ているのです。

長い間、ピアノ調律の仕事をしていると、たくさんの新しい出会いがある反面、

悲しい別れもあるのです・・・・。

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マーちゃん

マーちゃん の紹介

ぴあの屋ドットコム代表 ピアノを弾く時にはリチャード石山と言われています。
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