奮闘記 ⑪調律中の待機法 ♪ 

私は普段何気なく調律の作業に入っていますが、調律をしている間、お客様はどうしてるんだろう?
と思うことがあります。

そういえば、私が調律師になる前は、調律の方が家に来られたらいつもかぶりつきで覗き込んでいました。
そして、終わったあとに弾いてくださる1曲が楽しみで、いつもかっこいいなぁとあこがれていたのです。
こんなことを思っていると、いろんなことが思い出されてきました。

普通は、皆さんそれぞれの用事をされているのですが、
あるお家では、調律中の私の後ろで、ご家族一同正座をしてご覧になられていました。

子供が動こうとすると、「シーッ! 静かに!」とお父さんの声。
わたしも、ちょっと緊張・・・。
隣の部屋で息をひそめてじっとされている方もおられるようです。
でも普通でいいんですよ。おしゃべりもテレビもOKです。

ただ、テレビの音楽番組だけはちょっとまずいです。ピアノの調律の音と混ざって音がうなりだすんです。
焼き芋屋さんが「ピーッ」と近づいてきても大変。まるで音叉がなっているようで仕事になりません。

また、調律を始めると、おもちゃのピアノやピアニカを持ってきて一緒に弾きだす子もよくいます。
これは愛嬌あってカワイイですね。ガマンガマンで続けます。

それからよく起こる現象は、コックリコックリ・・・。
一時期流行したきつねをお呼びする「コックリさん」じゃないですよ。
子供さんやおばあさんが、単調で心地よいピアノのアルファー波(?)で眠くなるようです。

特異なところでは、
「昨日、仕事が遅くなって寝てへんねん(関西弁)。ちょっと寝されてもらうわ。終わったら大声で呼んでね」
と、ピアノのすぐ後ろの部屋で子供さんと一緒に、もう1分後には豪快な寝息をたてておられました。
調律後の1曲で、「いい子守唄やったわ」と起きてこられました。
安眠に貢献できたようです。

長年お世話になっているお家では、
「ちょっとお買い物行ってくるので留守番頼みます」
ということもよくあります。さらに宅配便の受け取りや電話の応対まで頼まれることも・・・。

「出かけますのでお支払いは先にしておきます。終わったらそのままお帰りになってくださいね。
カギをかけて、玄関の植木鉢の下へ入れて置いてください・・・」
15年もお付き合いしていると、ここまで信用されているんだなぁ、と気が引き締まります。

人間だけではなく、ペットもいろんな反応があるんですよ。
調律の時に使う赤いヒモ(ミュート)がちょろちょろ動くのを見てネコが遊びだし突然「バーン!」と鍵盤に乗ってきたり、
高音側に調律が進むと、小鳥たちがいっせいにさえずりだしたり、犬が突然遠吠えを始めたり・・・。
調律中は、音楽の音以外なら何でもOKです。

子供さんはどんどん、ピアノの中を覗きにきてくださいね・・・。


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マーちゃん

マーちゃん の紹介

ぴあの屋ドットコム代表 ピアノを弾く時にはリチャード石山と言われています。
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